階段で失敗しないためのアレコレ。

こんにちは。

皆さんは家の階段で足を踏み外したりヒヤッとした経験はないですか?
または、歳を取ったらこの階段上れるかな?降りれるかな?と不安に感じることはありませんか?

二階建て以上のお家を建てる場合、必ず付いてくるのが階段です。一日に何回上り降りするかは家のレイアウトにもよりますが、私の場合は最低でも食事で三往復、多い日は10往復はしています。そのため、安全で上り降りしやすい階段にする事も譲れない点の一つです。

賃貸住宅や建売住宅の階段は、折り返し階段の場合は1.0坪(182cm×182cm)に収めている物件が多く、緩やかな階段の物件は少ないと思います。階段を1.0坪に収めるためには、三角形の踏板を複数枚使ったり、段数を15段(一段の高さが20cm程度)にしたりするため、緩やかな階段には出来ません。

階段を緩やかにするためには、階段の敷地面積を増やす必要があるため、敷地にゆとりが無い場合は難しいと思いますが、踊り場や廊下の配置を工夫することで階段の敷地面積を確保できる場合があります。

「転ばぬ先の階段」・・・ということで、もし注文住宅で2F建て以上の家を建てるなら(もしくは家をリフォームするなら)折角のチャンスなので、ぜひ階段にもこだわってみてください。

 

■階段を考える上で知っておきたい制限について

我家の階段についてお話する前に、階段を考える上での制限についてお話します。

①設計モジュールの制限

パナソニックホームズの場合、木造建築と異なり設計モジュールに制限があります。家の「設計モジュール」を簡単に説明すると、家の柱(壁)と柱(壁)の幅、天井の高さのことで、パナソニックホームズのカサートの場合は15cm単位、フォルティナの場合は45cm単位での設計になります。これは、鉄骨構造による制限で、工法の違いによって15cm単位と45cm単位に分かれます。

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パナソニックホームズの鉄骨構造(引用:panasonic Homes)

②高さに関する制限

次に1Fの床面と2Fの床面の高さがあります。1Fの床と2Fの床の高さに合わせて階段の段数と一段の高さ(蹴上)を均等になるよう調整することになります。

パナソニックホームズのカサートで通常の天井高(2388mm)の場合、1Fの床と2Fの床の高さは2850mmのようで、階段一段の高さは16段にした場合は約178mm、15段にした場合は190mmになります。

 

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③梁(はり)の間隔に関する制限

また、梁(はり)と梁の幅(間隔)に制限があります。カサートの場合、梁と梁の間隔は15cm単位で調整されますので、希望する階段の設計によって梁の位置が15cm単位で移動することになります。つまり緩やかな階段にする場合は梁と梁の間隔が広くなり、急な階段の場合は梁と梁の間隔が狭くなります。

梁と梁の間隔が変われば、他の間取りにも影響する場合がありますので、設計士さんと相談することになります。

④横幅に関する制限

パナソニックホームズの場合、階段の幅も150mm単位で広げることになります。そのため、折り返し階段の場合は左右それぞれ75mm単位(合計150mm)で広げることになりますので、通常の階段の横幅を760mm前後とした場合、広げる場合の幅は835mm、910mm、985mmといった選択肢から決めることになります。

なお、階段の横幅を広げる場合で、木造階段の限界を超える場合には鉄骨で支える階段を選択することになり、金額がグンと高くなります。

 

■設計士さんに相談する上で知っておくと役立つ事

さて、実際に設計士さんと階段の設計について相談する上で知っておく事として、下の図にある①踏面(ふみづら)、②蹴上(けあげ)、③蹴込(けこみ)、④踏板(ふみいた)があり、以下の特徴を踏まえて相談することになります。

  • 踏面(ふみづら)を広くすると階段は緩やかになりますが、その分階段の敷地面積が増えます。
  • 蹴上を低くすると階段は緩やかになりますが、階段の段数が増えることになります。なお、蹴上は階段の段数によって決まりますので、基本的には蹴上の高さを指定したり微調整することは出来ません。
  • 蹴込(けこみ)を長くすると踏板の幅(奥行)を長く出来ますが、上りの時に指先やスリッパの先が引っ掛かりやすくなります。また、上りの時は踏板が広くなる分安定して上れますが、降りの時は蹴込を増やしても降り易さは変わりません。蹴込みは18-20mmが一般的のようですが無くすことも可能です。

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■理想的な階段の決め方について

でも、どれくらいの数値が理想的な階段になるのか判断が難しいと思います。ネットで調べると沢山の情報が見つかりますが、色々な意見があり益々判断が難しくなってしまいそうです。

そこでお勧めなのが「百聞は一見にしかず」、複数のモデルハウスや建売住宅の見学に行くことです。私もハウスメーカーを決めるまでに10軒以上のモデルハウスを見学し、決めてからもパナソニックホームズさんのモデルハウスや建売住宅を複数見学させて頂きました。

その際は、階段の段数を数え、階段の踏面、蹴上、蹴込、踏板、横幅、折り返し場所の幅を確認して、妻と一緒に階段の上り降りのし易さを体感させて頂きました。

ハウスメーカーのモデルハウスは、ご年配の方も上り降りし易い優しい階段になっていますので、建売住宅の階段との違いにすぐ気づきます。また、2Fへの階段と3Fへの階段では数値が異なっている場合があり比較に役立ちます。

家族構成や家族の身長、2Fの使い方等、いろんな要因によっても理想的な階段は異なると思いますので、周りの意見を参考にしながらも、実際に体感した上で決めることをお勧めします。

 

■我が家の階段について

我が家の場合、ほとんどのハウスメーカーさんの最初の提案図面はモデルハウスの階段のような緩やかな階段はありませんでした。階段の踏面を広げて段数を増やしたいと説明すると、何人かの方に「緩やかだと上りにくいですよ。」と言われました。

確かに若いうちは緩やかだと急いでいる時には一段飛ばしで上り降り出来てしまうかもしれませんが、年寄の家族(将来は自分も)や小さな子供にも安全で優しい階段にしたいと伝え、結果的にモデルハウスに近い数値で設計して頂きました。

その結果、我が家の場合、折り返し階段として使う敷地面積は約1.8坪になります。段数は16段のため蹴上は178mm(パナソニックホームズさんの場合の高さ)。踏面は240mm、蹴込み20mmとし、踏板の幅を260mm確保しました。この場合の階段の角度は約36.6度になります。階段の幅は15cm間隔で広げて約910mm確保しました。

ネットを調べるとあちこちで上り降りしやすい階段の法則として「蹴上×2+踏面=60cm」という計算式が出てきますが、これに当てはめると59.6cmになりました。

もちろん階段で敷地面積を使う分、階段下を収納として最大限活用するため、設計士さんに知恵を絞って頂きました。